International Year of Mountains 2002 Japan
9(最終回).持続可能な山岳開発に向けて
佐藤真帆(農林水産省林野庁)
これまでお伝えしてきたように山岳地域に存在する問題は多岐に渡り、それぞれがお互い複雑に関連しているため、その解決ヘ向け、息の長い取り組みが必要です。山岳地域はその独特な地理的条件から、多くの場合、人々の生活は平地よりもはるかに困難であることから特別な配慮が必要であり、その山岳の場所、地形により形成される生態系の環境は異なるため、その保全管理は各地域の状況を反映したきめ細かなものでなくてはなりません。山岳地域は、特別な政策を必要とするのです。しかしながら、これまで多くの国において山岳地域は、水の供給等人々の生活にとって不可欠な機能を有していながら、それ自体の存在すら注目されず、国家の開発計画から全く無視された存在でした。山岳地域へのアクセスは大変限られたものであり、一般的に低地に位置する都市で活動する政策策定者が山岳地域を訪れる機会はほとんどなく、その状況は正確に把握されていないことがしばしばです。70を超える国で国際山岳年の活動のために設立された国内委員会の多くでは、当初、彼ら自身、山岳に注目して議論を行った事がほとんどないため、各々の山岳が抱える問題点を特定することから活動が始まりました。これらの委員会では、焦点を山岳年から将来に移し、これまで集められた情報、知識に基づいた政策の策定とそれに基づいた長期的な取り組みを次の課題としています。
8月に行われたヨハネスブルグ・サミットにおいて、国連食糧農業機関(FAO)をはじめ国連環境計画(UNEP)、15国の政府代表から構成される山岳年フォーカスグループの代表であるスイス政府から、持続可能な山岳開発のための国際パートナーシップの設立が提言されました。これに対し、多くの国、機関が参加の意思を表明し、将来に向けたさらなる取り組みのための枠組みが確立されました。これは、これまで山岳地域の開発のために多岐に渡る分野において活動を行ってきた機関がそれぞれの焦点分野ごとに団結し、お互いの連携を図りながらこれまでよりもさらに効率的かつ効果的に活動が行うことを目的とするものです。
さらに来年は、淡水に関する国際年として指定されており、水の主要な供給源としての山岳地域へ注目を集める機会が引き続き与えられています。 2002年国際山岳年も残るところあと1月となりましたが、山岳生態系の保全及び住民の生活向上に向けた活動はこれがスタートなのです。
国際山岳年ホームページ:http://www.mountains2002.org
佐藤 真帆---------------------------
さとう まほ:平成8年より農林水産省林野庁本庁及び東北森林管理局青森分局に勤務。平成12年11月より14年9月まで国連食糧農業機関(FAO)林業局森林資源部勤務。国際山岳年調整ユニットにおいて、各加盟国・機関における活動の促進及びこれに関する情報収集、山岳地域の持続可能な開発のための政策策定の支援等に携わっている。
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